AI議事録ツールには、会議の音声、文字起こし、要約、参加者情報、共有リンクなどが保存されます。導入時は「認証を取得しているか」だけでなく、どのデータがどこに保存され、AI処理にどう使われ、誰が閲覧でき、いつ削除されるかを確認する必要があります。
この記事では、Notta、tl;dv、Fireflies.ai、Fathomの公式セキュリティ資料を2026年7月28日に確認し、導入前の比較項目を整理しました。各製品の安全性や法令適合を保証するものではありません。実際の導入では、自社の情報管理規程と最新の契約条件を照合してください。
最初に確認したい10項目
- 録音、文字起こし、要約、参加者情報のうち何が保存されるか
- データが保存・処理される国や地域
- 通信時と保存時の暗号化方式
- 顧客データがAIモデルの学習に使われるか
- 外部AI事業者やサブプロセッサーの扱い
- SSO、IP制限、ユーザー権限、共有制限
- 操作ログや監査に使える機能
- 保存期間、個別削除、退会時の削除
- 必要な機能を使える料金プラン
- SOC 2やISO 27001などの監査・認証の範囲
第三者認証があっても、公開範囲を誤って設定したり、不要な録音を長期間保存したりすればリスクは残ります。製品側の対策と、自社側の権限・共有・保存期間の運用をセットで考えましょう。
Nottaの公式公開情報
Nottaの公式ヘルプでは、AWSを利用し、データセンターは東京、通信はHTTPSとTLS 1.2、保存中のデータはAES-256で暗号化すると説明されています。SOC 2 Type IIの認証取得も案内されています。
公式料金ページにはISO 27001の案内があり、外部共有制限、ユーザーロール、IPアドレス制限、SAML SSO、操作ログなどのセキュリティ機能も掲載されています。ただし、利用できる機能はプランごとに異なります。必要な管理機能が候補プランに含まれるかを個別に確認してください。
国内の保存地域を優先したい場合の確認候補になりますが、保存地域だけで自社要件への適合を判断することはできません。機能と料金はNottaの詳細でも整理しています。
tl;dvの公式公開情報
tl;dvは公式セキュリティページで、顧客データをAI学習に使わないと説明しています。Anthropicへ送るメタデータを匿名化し、会議を小さな断片に分け、順序をランダム化して処理するという説明もあります。
AIのホスト地域として欧州または米国を選択できると案内し、データセンターは欧州、保存時はAES-256暗号化、SOC 2 Type IIとGDPRへの対応を掲げています。地域選択や管理機能がどのプラン・契約で使えるかは、商談または契約資料で確認してください。
CRM連携や複数会議分析とセキュリティ要件を併せて比較したい場合は、tl;dvの詳細も確認できます。
Fireflies.aiの公式公開情報
Fireflies.aiは公式ヘルプで、音声、動画、文字起こし、要約を内部・外部AIモデルの学習に使わないと説明しています。外部の処理事業者には、処理後に会議内容を保持しないZero Data Retentionを適用するとしています。
暗号化は保存時AES-256、通信時TLS 1.2以上と案内し、SOC 2 Type II、GDPR、HIPAAなどを掲げています。閲覧範囲、パスワード付き共有、保持期間、ユーザー権限の管理機能も案内されています。
標準構成ではデータを米国のクラウドで保存・処理し、Enterprise向けのPrivate Storageでは保存場所を選べると説明されています。なお、外部AI事業者のZero Data Retentionと、Firefliesのアカウント上に保存する会議データの保持期間は別の話です。混同せず、両方を確認してください。詳しい機能はFireflies.aiの詳細にまとめています。
Fathomの公式公開情報
Fathomは公式ヘルプで、SOC 2 Type II、HIPAA、GDPRへの対応を案内しています。Anthropic、OpenAI、Googleなどの外部AI事業者には、顧客データを学習に使わせない契約だと説明しています。
一方、Fathom自身は、匿名化した顧客データを独自モデルの改善に使うと説明しており、個人設定または組織設定からオプトアウトできるとしています。「外部AI事業者が学習しない」と「Fathom自身のモデル改善」を分けて確認する必要があります。
データは米国に保存され、アカウント削除時に録画とメタデータを削除し、さらに7日後にバックアップから削除すると案内されています。ISO 27001は取得していないものの、SOC 2は取得しているという説明です。詳細はFathomの詳細でも確認できます。
4製品を比べるときの読み方
公開情報からは各社の方針を確認できますが、同じ言葉でも範囲が異なる場合があります。たとえば「AI学習に使わない」は、外部AI事業者のみを指す場合と、自社モデルを含む場合があります。「データを保持しない」も、外部処理事業者の一時処理と、製品アカウント内の保存を区別しなければなりません。
空欄や説明のない項目を推測で補わず、営業窓口に次のように質問すると比較しやすくなります。
- 録音・文字起こし・要約は、それぞれどの地域に保存・処理されるか
- 外部AI事業者と自社モデルの学習利用はそれぞれどう扱われるか
- 保存期間を組織で固定し、管理者が削除できるか
- 共有範囲、権限、操作ログをどのプランで管理できるか
- 退会・契約終了後、バックアップを含めて何日で削除されるか
導入前の社内運用も決める
製品比較と同時に、録音対象、参加者への告知、機密情報を含む会議の扱い、共有範囲、保存期間、退職・異動時の権限削除を決めておく必要があります。特に顧客情報、人事情報、未公開の経営情報を扱う場合は、情報管理、法務、セキュリティの担当者を交えて確認してください。
機能や料金を含めた選び方はAI議事録ツールの選び方で整理しています。認証ロゴの数だけで順位をつけず、自社のデータ分類と運用に合うかを一項目ずつ確認することが重要です。